電子メイルにはその名のとおり、実際の郵便と共通する点が数多くあります。 純粋に技術的な観点からみれば、電子メイルも WWW や FTP などと同様、 ただ単にインターネット上でデータを転送する仕組みのひとつにすぎません。 しかし電子メイルはとりわけ以下のような点でそれ以外の インターネットサービス (WWW, FTP, IRC など) と異なっています (表 1b-1)。
情報の方向 | 個人どうしの通信 | オフラインで利用可 | リアルタイム性 | |
---|---|---|---|---|
WWW | 一方向 | × | △ (*1) | ○ |
FTP | 双方向 | △ (*2) | × | ○ |
IRC | 双方向 | ○ | × | ○ |
電子メイル | 双方向 | ○ | ○ | × |
WWW は現在インターネット上で利用されている代表的なサービスですが、 これではふつう個人どうしの通信はできません。 IRC, ICQ などの、いわゆる「メッセンジャー」サービスでは 個人どうしの通信が可能ですが、これらのサービスを利用するには双方のユーザが オンラインである (直接インターネットに接続されている) 必要があります。 ユーザが不在の場合にはメッセージを伝えることはできません。
電子メイルが他のサービスに比べて便利なのは、 たとえ相手がインターネットに接続されていない状態であっても、 相手のメイルボックスに「メッセージを残す」ことができるという特徴です。 いまや一人のユーザが複数のメイルボックスをもっていることも珍しくなくなりました。 会社だけでなく、携帯電話や web のメイルサービスなどから電子メイルを お使いの方も多いでしょう。逆にこの特徴により電子メイルでは メッセージのリアルタイム性は失われることになります。 電子メイルでは送ったメイルいつ相手に届くかを正確に予測することはできません。 またメイルがちゃんと相手に届いたかどうかも、送った側からは直接はわからないのです。 メイルを送るさいに相手のメイルボックスが存在しているかどうかもわからず、 送ってはみたものの「住所不定 (メイルボックスが存在しない)」という理由で 戻ってくることもあります。